網膜硝子体手術
高血圧や糖尿病の方などに多い、網膜症の治療
硝子体(しょうしたい)とは、眼球の内部の大部分を満たしている無色透明の、卵白よりやや固いゼリー状のものです。役割としては、眼球の形を保つと同時に、入ってくる光を屈折させます。この組織は病気が起こると病気の進行に大きく関与していく事が究明されてきました。硝子体手術の目的は、混濁した硝子体や増殖した網膜硝子体の組織、あるいは貯留した血液や病原菌を除去することにあります。
硝子体手術の適応症
●糖尿病網膜症
最近では10人に1人と言われる糖尿病ですが、罹病期間が長いと網膜症が起こってきます。網膜の毛細血管が虚血をおこし、出血や黄斑部に浮腫(黄斑浮腫)をおこし視力低下をきたします。またさらに進行すると新生血管が出現し大出血(硝子体出血)や牽引性の網膜剥離をきたします。
●網膜静脈閉塞症
高血圧、心血管障害、糖尿病、高原病の方に多くみられ、静脈が詰まって起こる病気です。視力が低下するのは黄斑部浮腫(網膜が腫れる)に起因するものが多く、手術に浮腫を除去することが可能です。
●黄斑部網膜上膜形成症(黄斑前線維症 網膜前膜)
物を見る部分の黄斑部に膜が張り、網膜にシワがより、ものの歪みや視力低下を引き起こします。手術で膜を除去することで網膜のシワがのびて、歪みなどが改善されます。
●特発性黄斑円孔
黄斑部の周囲に薄い膜がはり、黄斑部に穴が開く病気で、視野の中央が見えなくなる病気です。手術により穴の開いた周囲の薄い膜を除去。その後、ガスを入れる事で穴が閉じ、視力の改善が期待できます。
●裂孔原性網膜剥離
網膜剥離は、網膜に穴が開いて網膜が剥がれてくる病気ですが、この病気も最近では硝子体手術の適応です。症状は、光視症、飛蚊症、視野欠損、視力低下などです。