視神経がおかされ視野が欠けてしまう病気。自覚症状がほとんどなく、視野欠損は周辺部分から徐々に始まり、一度欠損した視野は回復しません。慢性にくる開放隅角緑内障と、急性にくる閉塞隅角緑内障、正常な眼圧でも視野欠損が起こる正常眼圧緑内障(NTG)があり、40歳以上は20人に1人が緑内障だといわれています。まずは検診による早期発見が第一で、進行を抑える治療が有効です。
閉塞隅角緑内障は、突然視力が低下し眼が痛くなったり、充血したり、頭痛がしたり、気分が悪くなって嘔吐したりして発覚します。 緑内障の場合、市販の風邪薬でも飲んでいいものと悪いものがあります。 服用の前に医師、薬剤師にご確認下さい。
ピントを合わせるためのレンズの役割を持つ水晶体が濁って、視力が低下したり、視界がかすむ、光のまぶしさが増す、といった症状が出る病気。白髪やシワのように加齢に伴い濁ってくる病気です。60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上になるとほぼ100%の人に白内障が認められます。
治療法は手術で、濁った水晶体を吸い出し、かわりとなる人工のレンズを挿入するもの。症状にもよりますが、手術に要する時間は15〜30分程度となっています。
糖尿病の三大合併症のひとつで、成人の失明原因の第1位。網膜症は、網膜の血管の異常から起こる病気。初期は自覚症状が乏しいため、気がつかないうちに病気が進行してしまい、ある日突然、眼底に大出血や網膜剥離を起こして、失明の危機にさらされることがあります。 糖尿病になると、血液中の糖分(血糖)が多くなり血糖値が高くなります。その状態が続くと血管に多くの負担がかかり、全身の細い血管に障害が起こります。網膜には、目に酸素を運ぶための細い血管が走っており、その血管の透過性亢進と網膜血管の乏血や閉鎖により、網膜にさまざまな障害が起こるのです。早い段階で網膜症を発見できれば、治療効果も上がります。どの病気にもいえることですが、早期発見・早期治療が糖尿病網膜症では何よりも大切です。眼科にて、お気軽にご相談ください。
目の前に蚊や糸くずのような物が飛んで見えたり、雲のようなものが浮いて見えたり、墨を流したように見えたりする病気を飛蚊症(ひぶんしょう)といいます。目を動かすと一緒に移動しているように感じられ、まばたきをしても消えません。黒いものから透明なものまで色も様々で数も1個から数個、時に多数のこともあります。これは訴える人が非常に多い目の症状です。 飛蚊症は、眼球の硝子体に濁りが生じ、その影がカメラで言うフィルムの役目をしている網膜に写るために起こる症状です。硝子体は、水晶体の後ろから網膜に達するまでの眼球の大部分を占め、ゼラチンの様な透明でドロッとした物質です。 この飛蚊症の原因は、生まれつきのものと、生後出現ものとあります。 40代になると透明な硝子体は、組成が変化し硝子体の内に液体が溜まった小部屋の様な物ができています。これを「離水」と言います。 この離水が網膜への光を遮断して黒いものと感じさせ、飛蚊症が生じます。一方、硝子体そのものは、加齢と共に前方へ収縮してしまいその結果、硝子体と網膜が剥離します。これを後部硝子体剥離と言います。この後部硝子体剥離が飛蚊症の原因として最も多いものです。 この後部硝子体剥離は60代前半に好発しますが、中等度以上の近視の場合には、十年位早く起こります。また、白内障の手術を受けた場合には、一年以内に出現することもあります。 後部硝子体剥離が起こると、飛蚊症が突然起こりますが、飛蚊症になる前か後に
ピカピカ光る物が見えることがあります。(光視症) この後部硝子体剥離、すなわち硝子体と網膜が剥がれるわけですが、剥がれる時に網膜自体も引っ張られて網膜に孔が開いてしまうことがあります。
網膜裂孔(もうまくれっこう)は、放置しますと、裂孔から液体状になっている硝子体が網膜の後ろに入り込んで、網膜剥離(もうまくはくり)と言う失明つながる病気になります。ですから、飛蚊症を自覚したら、眼科を受診し、精密検査を受け放置しておいてよいものかどうかを診てもらうことです。特に網膜剥離になる可能性のある網膜裂孔の有無をチェックしてもらうことが大切です。
眼球の内側にある「網膜」は、厚さ約 0.2mmの薄い神経膜で、外から入ってきた光を映像として感じ取る働きをします。カメラでいえばフィルムに相当し、ここで焼きついた映像が視神経を経て脳へ伝わります。この網膜を内側から支えているのが「硝子体」です。この硝子体は、老化や強度の近視などによって、縮んでしまうことがあります。このとき、硝子体を包む網膜が一緒に引っ張られて裂けて、かぎ裂き状の孔があくことがあります。また、栄養障害によって網膜そのものが萎縮し、小さな孔があくこともあります。このように、網膜が硝子体に引っ張られて裂けたり、網膜が萎縮して孔があいたりしたものを、「網膜裂孔」といいます。 裂孔の程度や場所によって様子を見ることもありますが、基本的には孔をふさぐ治療を施します。飛蚊症(眼前に糸状、点状、円形などのいろいろの形をしたものが見え、目の動きにつれてゆらゆら動く)や
暗闇で視野の一部に光が走る、等を自覚したら眼科医にご相談ください。
網膜剥離の多くは、何らかの原因で網膜に孔が開き(網膜裂孔)、そこに硝子体の組織が入り込んで、網膜がはがれてしまうものです。 網膜剥離の初期症状としてよくあるのが飛蚊症です。 また、目を閉じると端のほうに光が走る光視症も網膜剥離の初期症状として現れることがあります。 網膜剥離が進むと、はがれた網膜の部位に相当する視野が欠け、剥離が網膜全体に広がると、急激に視力が低下し、やがて失明に至ることもあります。 飛蚊症や、視野が狭いと感じたら、すぐに眼科で検診を受けることが大切です。お気軽にご相談ください。
網膜の黄斑部の老化によって起こる病気で、視界の中心が歪んで見えたり、薄暗く見えたり、黒く欠けて見えるようになります。ほっておくと、失明に至る危険性もある怖い病気です。加齢黄斑変性は、1:黄斑部の中心窩が萎縮変性してしまうタイプ、2:網膜の外側の脈絡膜から新生血管が発生して網膜に侵入するタイプ、の二つに大きく分けられます。2の異常な血管の発生は、加齢が原因と考えられていますが、危険因子がいくつかあり、「喫煙、 動脈硬化や高血圧など循環器障害」は、加齢黄斑変性の誘因になると考えられています。
ドライアイは乾性角結膜症ともいい、涙の量が少ない、あるいは涙に含まれる油分が足りないなどで、目の表面が乾燥した状態になっていることをいいます。 ごろごろする、充血する、眼が疲れるといった症状があります。しかし、ほとんどの場合は、病的な涙液分泌減少というよりも室内が乾燥しているとか、まばたきが減っているなどの生理的なもので、あまり心配はありません。 ただし、頻度は低いのですが、中年女性に多く見られるシェーグレン症候群では、涙を分泌する涙腺が破壊されて、重症のドライアイが起こります。目が乾いて、まぶしく、角膜が傷ついて視力の低下を伴うこともあります。こうした人は、人工涙液を用いて、できるだけ目を保護していくことになります。目の乾きが気になる方は、お気軽にご相談ください。
白目部分の表面の薄い粘膜(眼球結膜)と、上下のまぶたの裏側を覆っている粘膜(眼瞼結膜)を結膜といいます。 結膜炎は、主にウイルス、細菌の感染やアレルギーが原因で起こります。充血や目ヤニなどが主な症状ですが、結膜炎の種類によっては、重症になったり、感染力が強くて周囲の人にうつすこともあるので、あなどれません。 結膜炎は原因によって、「感染性」と「アレルギー性」の2種類に大別されます。 感染性結膜炎は、細菌やウイルスなどの病原体に感染することによって、結膜に炎症が起こるものです。アレルギー性の結膜炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギー反応を起こす物質)が原因で起こるものです。 特に注意を要するのは、感染性の結膜炎です。感染性の結膜炎のなかには、非常に感染力の強いものがあり、知らないうちに家庭内感染や、学校・職場での集団感染などを引き起こすことがあります。結膜炎の症状が現れたら、すぐに眼科を受診して原因を調べ、適切な対処をすることが大切です。お気軽にご相談ください。
角膜炎・角膜潰瘍は、黒目(角膜)に炎症や潰瘍が生じて、激しい目の痛みと視力低下、流涙を引き起こす病気です。角膜の障害が進むと、混濁が残り、視力が障害されることもあります。角膜炎になると、「角膜潰瘍」を起こすことがあります。角膜を傷つけて痛みが続くようなときは、放置せずに、早く治療することが大切です。眼科にてご相談ください。
感染その他の原因により、角膜の実質と呼ばれる組織にまで病気が及び、角膜の透明性が失われる病気です。角膜潰瘍は、治癒しても瘢痕(傷あと)が残り、視力障害を起こすことがあるので、早めに眼科医を受診することが大切です。角膜炎・角膜潰瘍は、さまざまな原因で起こります。細菌、真菌(かび)、ウイルスなどに感染して起こるもの、「けが」や「鉄粉、砂粒など異物の侵入」によって角膜が傷ついたり、「化学薬品、コンタクトレンズ、紫外線」などの物理・化学的原因で角膜が障害されて、炎症や潰瘍を起こすこともあります。
先天性の病気で、夜盲(いわゆる鳥目)、視野狭窄、視力の低下が起こる原因不明の難病です。夜盲は、光の明暗を感じる杆体が障害され、明るさに対する感度が悪くなるために起こ ります。明るいところから暗いところに移動したとき、目が暗さに順応できません。また、網膜の周辺部分から中心部分に向かって視野が狭くなっていく特徴的な視野狭窄(求心性狭窄)が起こります。視力低下の進み方には個人差がありますが、完全に失明することはほとんどありません。
虹彩(こうさい)・毛様体(もうようたい)・脈絡膜(みゃくらくまく)の総称をぶどう膜と呼びます。ぶどう膜炎とは、このぶどう膜の一部あるいは全てが炎症を起こす病気です。一般に、赤い、痛い、まぶしい、涙っぽい、視力が落ちた、霧がかかったように見える、という症状が現れます。ぶどう膜に対する過剰な免疫反応や、細菌・ウイルス・カビ(真菌)などによる感染が原因となることがありますが、原因を特定できないこともしばしばです。昔から有名なぶどう膜炎として、ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病が挙げられ(三大ぶどう膜炎)、いずれも、免疫系の異常が原因で発症することが分かっています。これらの病気では、目ばかりでなく、それぞれの病気に特徴的な全身症状や検査所見が認められます。症状を自覚したら、すぐに眼科で検診を受けることが大切です。
眼瞼けいれんの患者さんは、まばたきが多く、いつもしょぼしょぼし、伏し目がちでまぶたを綴じている方が楽といいます。顔を見ると、まぶたが閉じ加減で、眉間に縦じわがあり、額と鼻の付け根のところに横しわがあるのが特徴です。 片目をつぶると楽なので、そのような表情をしている場合もあります。 40歳代後半以降、特に女性に多くみられる病気ですが、20歳代でも起こることがあります。 最近、眼瞼けいれんにボツリヌストキシン(商品名:ボトックス)の注射が使われるようになり、かなりよい効果が報告されています。ボトックスを目の周りの筋肉に注射することにより、目を閉じる筋肉の緊張をやわらげるので、まぶたをスムーズに開けられるようになります。効き目は2、3日後から現れ、4ヶ月くらい続きますが、2週間から2ヶ月までが効果のピークです。薬の効果がなくなってくると眼瞼けいれんの症状が徐々に起こってくるので、3〜6ヶ月を経て症状が現れてきたら、注射をします。約80%の患者さんが満足するレベルの症状改善が出ています。初回注射の後、再度の注射を必要としなくなってしまう患者さんや1年後の注射で間に合う患者さんもしばしば見られます。ボトックスには眼瞼けいれんのほか、片側顔面けいれん、痙性斜頚にも保険の適用があります。 少しでも気になったらお気軽にご相談ください。